富岡駅近くに「ときわ荘」という旅館があります。昭和13年頃の竣工だそうですが、われわれJIAで以前調査した「櫛淵邸」と、貫前神社前の「社会教育館」の3つの建物共、時の建築家大江新太郎氏の率いる「國風建築塾」の設計といわれています。
建築後すでに70年以上を過ぎていても驚くほど、キチンと保存されています。またその設計のセンスのよさと、仕事の丁寧さ、当時の職人達が嬉々としてこの仕事に携わったことがひしひしと伝わってきます。こういった建築がこの群馬の、また富岡という地にあるということは、やはり貫前神社前に国威高揚のために県が中央の建築家に依頼して「社会教育館」を建て、その手腕を見込んで土地の有力者が自分達のために、住宅を依頼したということでしょうか。
今回われわれJIA群馬クラブのメンバー主体で設立されたNPO法人「VALO」が、富岡市より依頼を受け、現地調査をすることになりました。
20日雨の降る中、メンバー6名で内部の平面から、建具、立面などを実寸を測る作業を行いました。見ていくと、使っている材料や、大工の手わざ、建具職人の仕事などこんなことまでと、感心することしきりで、そんな仕事のあとをまるで宝探しのような気分で、時間が過ぎるのも忘れるほどでした。
いずれにしても、その建築のレベルは非常に高く、その価値を一般の人々にキチンと理解していただくこともわれわれの仕事だと、肝に銘じた一日でした。
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