基本設計から約2年かかりましたが、完成引き渡しになりました。当初設計に当って基本的なレイアウト。たたき台の案からいくつかの変更をへて最終的に今の案となりました。関根町で農家を営む旧家で、道路に当たるための移転新築でした。もともと長屋門があったりっぱな農家住宅でした。そのイメージは出来るだけ残しながら、今の生活に合った使いやすいプランをと心がけました。
その後実施設計に移り細かい打合せから、実施設計完了となったのが去年の9月ころでした。数社にしぼり見積もりを提出してもらい、内容を充分検討し今の業者さんに決定したのが去年の10月末でした。11月に着工となり、基礎工事からいよいよ始まりました。工事中には施主を交えての週一回の定例打合せは、ご夫婦の場合や、近くに住む長女のかた、何かとお忙しいご主人不在のときはお母さんだけの参加の時などがありましたが、ほぼ滞ることなく続きました。途中基礎配筋検査、材木屋さんでの木材検査、軸組み検査下地検査などをへながら、また打合せは、工程のこと、設計や工事内容のこと、変更工事、追加工事等多岐にわたり綿密に行い、設計や工事についてもいろいろとありましたが、みごと完成に至りました。
完成に当っては、役所の完成検査も受けその後、われわれ設計者の細かい完成検査を行い、手直し工事も完了し最後に施主に一通り見ていただき鍵引渡しとなりました。
ご夫妻からあたたかいお礼の言葉をいただき、またお母さんからは「大変ありがとうございました。いつでも泊まりにきてくださいね。羽鳥さん自分で住みたいでしょう」と言われ、本当に喜んでいただき感謝感謝です。
その敷地に立ったとき、そしてプランをするとき、実施の図面を書くとき、つねに自分が住みたくなる家をと心がけているつもりです。極端にいえば設計中、工事中はこの建物は自分の家であるくらいの気持ちでいますが、これで施主に無事お渡し出来たわけです。その思いが少しでも伝わったかと思うと感無量です。
完成した建物を後にするとき、いつも思うことですが、達成感と同時に何か手塩にかけて育てたわが娘を、嫁がせるようなそんな寂しさも感じた一日でした。