よく行く蕎麦屋で、こんな雑誌がありました。
ダビンチという雑誌で、泣けるいい話という特集でした。
小説や詩、ブログなどから、いい話を集めていました。
中にこんな話がありました。
「有難う」 川端康成。
今年は柿の豊年で、山の秋が美しい。
で゙始まる短編なのですが、あらすじは。
ある半島の先端の田舎町のバス停留所です。
娘を連れた母親、二人がバスに乗ります。
この母親は、貧しいため遠くの町に娘を売りに
行くためにこのバスに乗ったのです。
このバスの運転手、動き出すと追い越して行く
荷車や、馬、全てにありがとう、ありがとう、
とお礼を言います。
母子はずっとそれを見ています。
15里ほど走り、夕方終点の駅に付き、二人はバスを降ります。
そこで一泊し翌朝、汽車で目的の町に行くのでしょう。
しかし明朝、駅から半島の先端に向かって走るバスに
この母子は乗っていました。
この運転手は、相変わらず、ありがとう、ありがとう。
今年は柿の豊年で、山の秋が美しい。
で終わります。