路地で遊んでいて、突然正面に煙突がそびえていた、ということがよくありました。 和泉屋の煙突は八幡宮の広い参道や境内を遊び場にしていた子どもたちの賑わいを見続けてきたのです。 馬車街道に通じる石垣下のせせらぎには、夏には小さな魚たちが、冬には氷が張って、煙突を囲む木々とともに、暮らしや遊びに四季を配色する場所でした。 文 原 佑典