レンガを一つひとつ積み上げた壁面に、堅
牢な鉄の扉の開閉する窓がついていま
す。
窓の向こうには当時のままの時間がと
どまっているような奥行きがあります。
そんな遥かな時間の感触を、レンガの
1枚1枚が色づけしてくれています。
それは、長い時間と暮らしの記憶の物語
を、立ち止まった人にそっと伝えてくれる
語り部なのかもしれません。
文 原 佑典